金貨や銀貨は購入したら終わりというものではない (コインの保管方法)
資産として持つにせよ、趣味として持つにせよ、金貨には保管方法という問題が存在します。
私の父親は資産として金を保有していたので、面倒になって田中貴金属さんの “純金積立” に切り替えてしまいました。
(私の弟も、資産として金を保有するならば “純金資産” を推奨しています)
これは銀食器や、冒頭画像のようなスターリングシルバーのボールペンをお持ちの方ならばご存知かと思います。ともかく定期的に銀クロスなどで磨かないと “くすんで” しまうのです。
実は化学的に安定した金で造幣されている金貨でも同様なのです。金の比率が高く金地金型金貨と呼ばれるメイプルリーフ金貨やウィーン金貨でも、保存には気を配る必要があるのです。
今回はコイン愛好家の間では避けて通ることの出来ない “コインの保管法” を紹介させて頂くことにします。
完全密封型
まず昔から実施されている確実なコイン保管方法は、「ケースの中に収納し、酸素とは異なる不活性型の空気を封入して保管する」です。
博物館へ行くと、昔のコインがケースに入れて保管されているでしょう。費用はかかるけれども、それと同じようにして保管するのです。
例えば個人が保有するコインの場合、PCGSなどの評価組織に依頼すれば、評価した上でケースに密封して貰えます。2020年4月5日時点では、日本公式受付センターが存在します。
評価した上で偽造防止の専用ケースに収容されるので、それなりのお値段がかかります。2020年4月5日時点では、”2020年、PCGS、新しい価格と質の高いサービスへ” という報道資料に記載された金額になるようです。
私も幾つか保有していますけど、なんとなく取り出して眺めるたびに、少しだけリッチな気分になることが出来ます。
ただし当たり前ですが、このようなケースに不活性ガスを封入して保管する方法にも課題が存在します。
- 間近に見ることが出来ない
- 保管にかさばる
- 手間と費用がかかる
単に資産として金貨を保管なさりたい方には、手間と費用は面倒な話でしょう。そしてコレクターにとっては、コインホルダーのように一瞥できないのは面倒です。
それに保管スペースが必要になります。筋金入りのコレクターは、たとえ同じ金貨であっても、製造年に拘ります。
それで何枚も購入してしまうのです。そして世界には金貨だけに限っても、驚くほどの種類が存在します。
まあ今でこそ国が責任を持って管理出来ているので大丈夫になっていますけど、昔は国が貨幣や紙幣に価値を持たせることは出来ませんでした。それでつい100年前まで金本位制、つまり貨幣を金で作って価値を持たせていました。
だから金貨コレクターの道に踏み入ってしまうと、頭を抱えたくなる程の金貨に遭遇します。楽天のアイコンズさんの書籍コーナーを拝見すると、国ごとに紹介本まであることに驚かされます。どんなにお金持ちでも、収集できるのは一部に限定されています。
そしてコレクターにとって最も悩ましいのは、「間近に見ることができない」ということです。そのためにPCGSケースに収納された金貨を購入した後、ケースを壊して取り出してしまう強者まで存在します。
ま、これくらいのことが出来なくてコレクターと呼べるかと開き直られると還す言葉がありませんけど、世の中にはいろんな人間が存在するのだと驚かされます。
厚紙型
完全密封型とは逆に、最も保管条件が良くないのが “厚紙型” です。金貨を購入すると、穴の開いた厚紙にセロファンをホチキス止めした形態で配送されて来ることがあります。
これはホチキが錆びたり、ホチキスで穴の開いた部分がネックとなります。そのためにビニール袋に入れたり、ケースに入れておくことが必要になります。
果たして自分が持っているコインが、どの程度の密封度で保管されているかが気になる方もいるでしょう。そういう方は、銀貨で試してみると良いです。
ちなみに一瞥すると問題ないように見えても、銀クロスで磨くと黒ずんでいることが分かることが多いです。私もスターリングシルバーのボールペンを磨くたびに、けっこう黒ずんでいることに驚かされています。
コインケース型
コイン用のプラスチック容器というものが存在します。野口コインさんを始めとする数社が採用している方式です。
これはサイズがピッタリならば空気も殆ど存在しませんけど、PCGSのように陽気が密閉されている訳ではありません。また僅かであっても空気が存在します。
酸素に加えて水分(湿度)も問題になるので、乾燥した空気の中でケースを閉じて、ビニール袋などに入れておくことが望ましいです。だから野口コインさんではビニール袋に入った形で配送されて来るのです。
邪魔だからといって、ビニール袋から容器を取り出してはいけません。そのようなことをしたい場合は、容器の隙間を接着剤で密封してしまうのが良いでしょう。
ちなみに某社の場合には、1/10オンスコインがビニール袋にだけ入れて配送されて来ました。しかし小さいとはいえ、これはあまり望ましいことではありません。きちんとコイン用のプラスチック容器に収納するとか、後述のポリプロピレン袋で保管するのが良いです。
なお私は経験したことがありませんけど、塩化ビニルのビニール袋に金貨を収納して配送される場合もあるのだそうです。金貨に不慣れな質屋さん等では、「金貨は化学変化が起こりにくいから大丈夫」と勘違いしているケースがあるのだそうです。
塩化ビニルには可塑剤(柔軟剤)が含まれていて、コインに悪影響を及ぼすトラブルが多発しています。大切なコインなのだから、くれぐれも塩化ビニルの利用には気をつけたいものです。
真空パック型
これもある意味で完全密封型です。田中貴金属さんなどでは、メイプルリーフ金貨をアジやサンマの開きのように、真空パックに詰めて販売しています。
これ、最初はあまり見た目が格好良くないと驚きました。しかしコインの保管方法の悩みを知ると、この真空パックが実に優れた保管方法であることが分かります。
ただし… この真空パック方式はコイン愛好家の理想形なのですが、個人が実現するのは不可能に近いです。私は紙を固いプラシートに封印してしまうラミネータを所有していますが、金貨には使えません。
紙と違って厚みがあるし、金貨は柔らかいので圧力(変形)に弱いです。加熱された状態では、さらに柔らかくならないかと心配です。
したがって資産として金貨を所有なさりたい方には、田中貴金属さんは大人気だったりします。
(ただし保管という面では優れていますが、田中貴金属さんはネット販売をしていません。したがって2020年4月5日時点のように外出自粛が要請されているような場合は電話購入も止まっており、危険を承知で販売店へ赴く必要があります)
ポリプロピレン型
さてそんな訳で、個人に可能なコイン保管方法は、某編集長が考案した “ポリプロピレン型” となります。この方法は、特に大型コインで威力を発揮します。
まず薄いポリプロピレン製のフィルムで挟み、これを厚手のポリプロピレン製の数cm四方の小袋に入れて、出来る限り空気を抜いたうえで密封保存するのです。
小さなコインの場合は、これをさらにコインホルダー(切手アルバムのようなもの)で保存するのです。
私は経験ありませんが、小袋をさらに厚手のポリプロピレン製の小袋に入れて保存すると、銀貨でも問題なく保存できるらしいです。
最近使用されている3密というキーワードを使うと、とりあえず以下のような感じでしょうか。
- 化学反応しにくいポリプロピレン(塩化ビニルNG)で密着
- 何重にもカバーして換気を悪くし、空気に触れさせない
- 容器に密着させて距離を取らない
ともかくコツは、化学変化を起こす酸素、水、化学物質に触れさせないということです。
まとめ
以上が金貨や銀貨に限らず、コイン一般に通用する保管方法です。
せっかく手間や費用を費やして入手した貴重なコインです。コインを楽しみつつ、出来るだけ良好な状態で保存したいものです。
人類や個人の財産でもあります。この記事が少しでも皆さんのお役に立つことがあれば幸いです。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:四葉静