米国生活

He is a Chritian turned Buddhist. 何教?

“英語リーディング教本” というのは、大変に優れた参考書です。

私のように美術や音楽が “5”(10段階評価)だったような問題児には、理詰めで英文解析する “英語リーディング教本” はピッタリだと言えるでしょう。

しかし残念ながら、英語学習は理詰な解析だけすれば十分というものではありません。

つまり私のような “典型的な理系”には教本は大変役立つけれども、やっぱり在来的な英語学習も必要なのです。

今回は “He is a Chritian turned Buddhist.” という例文があったので、これを参考例として説明させて頂くことにします。

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教本の読者から

まず英語リーディング教本では、”He is a Chritian turned Buddhist.” は、「彼はキリスト教徒から仏教に改宗した人だ」と説明されています。

主格の関係代名詞は省略できないので、この文は “He is a Christian who turned Buddhist.” と同じだとは解釈できないというのが根拠です。turned は Christianを修飾しているのだそうです。

しかしこれを読んで不思議に思った読者がいます。彼はあちこちに質問しましたけれども、結局すっきりした答えを得ることは出来ませんでした。名詞のJapaneseを形容詞的に使う Japanese American(日系アメリカ人)は分かるけれども、これがそのまま適用されるかどうかがハッキリしないという結論までが精一杯でした。

たしかにその通りです。ランダムハウス英和大辞典によると、turned pipe が「曲げられたパイプ」という表現で登場しています。その方向から解釈することも可能で、「キリスト教的に曲げられた仏教徒」という可能性が生じて来ます。

しかし Christian tuned ではなくて、Christian turned です。white colored pipe と同じパターンだけれども、もはやwhite … つまり Chirstian ではありません。

そこでこれ以上の英文解析は困難ということで、何だかスッキリしない解釈に留まっているのです。

(Christian-turned-Buddhistという例文がオックスフォード大辞典にあるとのことですが、ハイフンの有無は基本的に関係ありませんからねえ)

英語サイトから

さてこれを英語サイトを参考に考えてみることにしましょう。

まず小説で、”Were you or are you too a Christian kid turned non-Christian?” という表現があります。

また日本人の英語教師たちが議論していた上記サイトでも、singer turned actress という例が言及されていました。

これらの説明を参考に考えると、基本的に英語リーディング教本の「現在は仏教徒」は間違っていません。問題は Christian や singer をどのように解釈するかです。

ここで参考になるのは、「英語は重要語から並べる」という基本原則です。日本語と異なり、重要な意味を持つことが多い動詞 (Verb) は、主語 (Subject) の次に並べられます。

その流儀に従って考えると、Buddhist が最初に来ないのが不思議です。素直に考えると、Buddhist turned from Christian です。

そして white colored pipe の場合は white = pipe です。だから英語センスに長けた英語教師の方々は、Christian turned + Buddhist と解釈して、Christian turned が日本語的な形容詞だと説明されたのだと考えると混乱するのです。

(日本語的な形容詞感覚というのが通じにくかったから、ただの turned pipe で考えて頂くのが良いです。よく見ると英語リーディング教本では、turned Buddhist ではなくて、Christian Buddhist だと説明されています)

これは Were you or are you にも表れていますけれども、本質的に Christian = Buddhist なのです。ただし現在はBuddhist であるということです。

そういう意味では、非常に稀な例文です。私が見つけた non-Christian や actress の例と異なり、基本的に Christian が Buddhistになることは滅多にありません。「キリスト教の心を持った仏教徒」 … なんだか納得感のない変化ですよね。

だから singer turned actress や Christian Kid turned non-Christian のような納得感が得られなかったのです。

実際に singer turned actress を議論している英語サイトでは、singer & actress のようなものだとも説明されていました。

つまり英語リーディング教本は内容的に間違っていないものの、英文解析の範囲外となる「語順原則」や「修飾関係の重み付け」なども内容理解に影響して来る訳です。

だから英語リーディング教本は正統的なアプローチにはならない訳です。著者の薬袋先生がコメントしているように、「劇薬」に位置付けられます。

ただし英語リーディング教本のように文章構造を意識して読むことは有益であり、だからこそ私のような英語センス(語学センス)の欠如している者には、教本のような技法が大いに役立つ訳です。

まとめ

さて “He is a Chirstian turned Buddhist.” だけで随分と語ってしまいましたが、これで英語リーディング教本がどのようなものであるかが、何となくお分かり頂けたでしょうか。

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たしかに五文型や単語間の修飾関係を技術的に解析する方法は役立ちますけれども、英語は文章構造が全てだという訳ではありません。

だから学校英語では「伝統的な英文解釈」や「伝統的な英文読解」が主流となっている訳です。

それに大切なのは、正確に頭の中にあるイメージを伝えることです。英語というのは「コミュニケーション手段の一つ」に過ぎません。

こうやって考えて見ると、言語によって意思疎通できる人間とういうのは、実に大した存在なのだと感心するばかりです。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:四葉静

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